Journal of JPIC

Online edition: ISSN 2432–2342
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Journal of JPIC 3(2): 43-55 (2018)
doi:10.20599/jjpic.3.43

原著Original Article

2017年における先天性心疾患および小児期頻拍性不整脈に対するカテーテルインターベンション・アブレーション全国集計日本Pediatric Interventional Cardiology学会データベース(JPIC-DB)からの年次報告Pediatric and congenital catheter interventions and ablations in Japan during 2017: Annual report from Japanese Pediatric Interventional Society Database (JPIC-DB)

1日本Pediatric Interventional Cardiology(JPIC)学会調査委員会JPICデータベースワーキンググループJPIC Database Working Group, Investigational Committee

2日本Pediatric Interventional Cardiology(JPIC)学会理事会Executive Board of the Japanese Society of Pediatric Interventional Cardiology (JPIC)

3静岡県立こども病院循環器科Department of Cardiology, Shizuoka Children’s Hospital ◇ Shizuoka, Japan

4東京大学医学部附属病院小児科Department of Pediatrics, Tokyo University Hospital ◇ Tokyo, Japan

5東京大学大学院医学系研究科医療品質学講座Department of Healthcare Quality Assessment Graduate School of Medicine, Tokyo University ◇ Tokyo, Japan

6久留米大学医学部小児科学講座Department of Pediatrics, Kurume University School of medicine ◇ Kurume, Japan

7東京女子医科大学循環器小児科Department of Pediatric Cardiology, Tokyo Women’s Medical University ◇ Tokyo, Japan

8昭和大学横浜市北部病院循環器センターCardiovascular Center, Showa University Northern Yokohama Hospital ◇ Kanagawa, Japan

9榊原記念病院小児循環器科Department of Pediatric Cardiology, Sakakibara Heart Institute ◇ Tokyo, Japan

10埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科Department of Pediatric Cardiology, Saitama Medical University International Medical Center ◇ Saitama, Japan

11岡山大学病院小児循環器科Department of Pediatric Cardiology, Okayama University Hospital ◇ Okayama, Japan

*1

These authors equally contributed.

*2

These authors equally contributed.

*3

These authors equally contributed.

*4

These authors equally contributed.

受付日:2019年1月29日Received: January 29, 2019
受理日:2019年1月30日Accepted: January 30, 2019
発行日:2018年12月31日Published: December 31, 2018
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日本Pediatric Interventional Cardiology(JPIC)学会では,1993年よりカテーテル治療(アブレーションを含む)の手技・件数・有害事象に関する全国アンケート集計が継続されてきた.2013年よりNational Clinical Database(NCD)へのオンライン登録によるJPICデータベース(JPIC-DB)の実運用を開始し,3年の移行期間を経て,2016年に施行された症例から,すべてJPIC-DBに登録されている.このデータベースは先天性心疾患および正常心構造を含む小児期頻拍性不整脈に対するあらゆるカテーテル治療手技と有害事象を包括的に登録対象としている.また新規のデバイスについても年々アップデートしており,緻密な情報が蓄積されてきている.本稿では2017年のデータを集計し,総計4804件のデータについて結果を報告する.有害事象率は3.8%,死亡率は0.1%であった.データベースのクオリティマネージメントを進め,今後も引き続き本邦におけるカテーテル治療のベンチマークとして患者さんおよび家族への説明や,有害事象へのリスク管理,臨床研究,新規医療機器導入など幅広い利用に資するべくアップデートを重ねてゆく.

The Japanese Society of Pediatric Interventional Cardiology (JPIC) had conducted the annual questionnaire surveillance regarding catheter-based interventional procedures (including ablation) and adverse events since 1993. The online registry system named JPIC Database (JPIC-DB) based on the National Clinical Database (NCD) eventually went into operation with the initial enrollment of the actual cases since January 2013. After three years of transition period, the entire interventional and ablation cases during 2016 in Japan registered to the JPIC-DB. The striking feature of the annual surveillance so far has been comprehensive involvement of any form of pediatric and congenital interventional procedures and adverse events. Also, we updated the database to include newly introduced devices. In this paper, we report 2017 annual data of JPIC-DB. Total number of procedures was 4804, adverse event rate was 3.8%, mortality rate was 0.1%, and procedure completion rate was 96.9%. We are going to build quality assurance system and update the JPIC-DB to serve as a benchmark. We hope that it continuously be helpful for explanation to the patients and their family, risk management, clinical investigation, and introduction of new device and technology.

Key words: catheter intervention; catheter ablation; database; registry; the Japanese Society of Pediatric Interventional Cardiology (JPIC)

はじめに

日本Pediatric Interventional Cardiology(JPIC)学会では,1993年よりカテーテル治療(アブレーションを含む)の手技・件数・有害事象に関する全国アンケート集計が継続され会員向けNews Letterで結果を公表してきた.2013年よりNational Clinical Database(NCD)へのオンライン登録によるJPICデータベース(JPIC-DB)の実運用を開始し,3年の移行期間を経て,2016年に施行された症例から,すべてJPIC-DBに登録されている.このデータベースは先天性心疾患および正常心構造を含む小児期頻拍性不整脈に対するあらゆるカテーテル治療手技と有害事象を包括的に登録対象としている1).また新規のデバイスについても年々アップデートしており,緻密な情報が蓄積されてきている.また2016年の集計からJournal of JPICにAnnual Reportととして報告をおこなってきた2)

本稿では2017年の1年間にJPICデータベース(JPIC-DB)に登録された,先天性心疾患および正常心構造を含む小児期頻拍性不整脈に対するカテーテル治療の集計を報告する.

対象および方法

2017年1月1日から12月31日までに施行し,JPIC-DBに登録された先天性心疾患および正常心構造を含む小児期頻拍性不整脈に対するあらゆるカテーテル治療手技を対象とした.JPIC-DBは国内105施設が参加し,94施設から症例が入力された.前回2016年より用いている治療手技,標的部位,有害事象の分類に基づき,Table 1~5に分割して呈示する.

「件数」は一回のセッションで複数治療手技が施行された場合にそれぞれカウントした延べ数,「セッション数」は複数手技が施行された場合を一括とした治療件数,「例数」は年間に複数セッションが行われた場合に同一症例を一括とした症例数,と定義している.

結果

2017年の1年間に,4804件,4402例の治療手技(件数,症例数)が登録された.これは2016年にくらべて424件,336例の増加であった.また非アブレーションは4311件(3926例),アブレーションは493件(476例)であり,2016年と比べいずれも増加している.(Table 1).

Table 1 Overview of annual interventional and ablation cases from the JPIC-DB during 2017.
Table 1 Overview of annual interventional and ablation cases from the JPIC-DB during 2017.
Table 1 Overview of annual interventional and ablation cases from the JPIC-DB during 2017.

Table 2では,非アブレーション,Table 3ではアブレーション,それぞれにおける手技別,標的部位別の件数を示す.併せて,有害事象,死亡,年齢分布,未完了件数,使用器具について解析している.手技の「完了」・「未完了」については,標的部位でのバルーン・ステント拡大,デバイスの固定等,手技的完了の有無で定義され,必ずしも有効,成功を意味しない.また,有害事象については循環動態や全身状態への有意な影響をもたらすレベルの事象を定義している.詳細はJPICホームページに掲載されている入力マニュアルやJPIC-DBの総説1)に記載されている.

Table 2 Analysis of the non-ablation (non-EP interventional) cases.
Table 2 Analysis of the non-ablation (non-EP interventional) cases.
Table 2 Analysis of the non-ablation (non-EP interventional) cases.
Table 2 Analysis of the non-ablation (non-EP interventional) cases.
Table 3 Analysis of the ablation cases.

有害事象率(対件数)は,3.8%(非アブレーション4.0%,アブレーション2.6%)であった.重篤な有害事象として死亡が4件登録され,いずれも非アブレーションの手技後に発生している.その内訳をTable 4に示す.有害事象発生率は2016年とほぼ同等であり,死亡発生件数は減少している.手技別に見るとstent implantationにかかわる有害事象が9.3%と全体の平均よりも高かった.また心肺蘇生を必要とした有害事象の率が平均(9%)より高かった手技としてはstent implantation, Balloon Valvuloplasty, Balloon Dilationで,それぞれ21%, 16%, 12%であった.

Table 4 Summary of the mortality cases.

考察

2016年よりJPIC-DBによる悉皆登録に移行し,患者背景や現疾患,手技の詳細,有害事象の詳細まで入力されるようになった1).今回の報告は昨年と同様の集計2)に基づき比較検討を行うことが可能となった.

Table 5 List of institutions which enrolled the actual cases during 2017.
北海道大学病院小児科大垣市民病院第二小児科(小児循環器新生児科)
北海道立子ども総合医療・療育センター小児循環器内科名古屋市立大学病院小児科
旭川医科大学病院小児科静岡県立こども病院循環器科
弘前大学医学部附属病院小児科JCHO中京病院小児循環器科
岩手医科大学附属病院循環器小児科名古屋第一赤十字病院小児科
秋田大学医学部附属病院小児科名古屋第二赤十字病院小児科
山形大学医学部附属病院小児科あいち小児保健医療総合センター循環器科
宮城県立こども病院循環器科三重大学医学部附属病院小児科
仙台厚生病院心臓血管外科滋賀医科大学医学部附属病院小児科
福島県立医科大学附属病院小児科京都府立医科大学附属病院小児循環器・腎臓科
筑波大学附属病院小児科京都大学医学部附属病院小児科
茨城県立こども病院小児循環器科大阪大学医学部附属病院小児科循環器
千葉県こども病院循環器内科国立循環器病研究センター小児循環器科
千葉県循環器病センター小児科北野病院小児循環器科
松戸市立総合医療センター小児科大阪市立総合医療センター小児循環器内科・小児不整脈科
自治医科大学附属病院小児科大阪医科大学附属病院小児科
群馬県立小児医療センター心臓先天性関西医科大学附属病院小児科小児循環器科
埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科大阪母子医療センター小児循環器科
埼玉県立小児医療センター循環器科近畿大学医学部附属病院小児科
慶應義塾大学病院小児科兵庫県立尼崎総合医療センター小児循環器内科
東京都立小児総合医療センター循環器科兵庫県立こども病院循環器内科
東京医科歯科大学医学部附属病院小児科加古川中央市民病院小児科
東邦大学医療センター大森病院小児科奈良県立医科大学附属病院小児科
日本大学医学部附属板橋病院小児科天理よろづ相談所病院先天性心疾患センター
北里大学病院小児科和歌山県立医科大学附属病院小児科
東京慈恵会医科大学附属病院小児科岡山大学病院小児循環器科
日本医科大学付属病院小児科倉敷中央病院小児科
順天堂大学医学部附属順天堂医院小児科・思春期科広島市立広島市民病院循環器小児科
日本赤十字社医療センター小児科あかね会土谷総合病院小児科
東京大学医学部附属病院小児科循環器班鳥取大学医学部附属病院小児科
国立成育医療研究センター循環器科島根大学医学部附属病院小児科
東京女子医科大学病院循環器小児科山口大学医学部附属病院小児科
榊原記念病院小児循環器科山口県済生会下関総合病院小児科
聖マリアンナ医科大学病院小児科四国こどもとおとなの医療センター小児循環器内科
横浜市立大学附属病院小児循環器徳島大学病院小児循環器科
昭和大学横浜市北部病院小児循環器センター愛媛大学医学部附属病院小児科
神奈川県立こども医療センター循環器内科九州大学病院小児科
新潟大学医歯学総合病院小児科JCHO九州病院小児科
新潟市民病院小児科福岡市立こども病院小児科(循環器)
富山大学附属病院小児科久留米大学病院小児科
金沢大学附属病院小児科聖マリア病院小児循環器内科
福井循環器病院小児科長崎医療センター小児科
長野県立こども病院循環器小児科大分県立病院小児科
山梨大学医学部附属病院小児科・新生児集中治療部熊本市立熊本市民病院小児循環器内科
聖隷浜松病院心臓血管外科宮崎大学医学部附属病院小児科
岐阜県総合医療センター小児循環器内科鹿児島大学病院小児科
沖縄県立南部医療センター・こども医療センター小児循環器科

入力施設数の増加を加味しても昨今の少子化による影響は見られず,カテーテルインターベンションおよびアブレーションの純増が認められた.有害事象率は昨年とはほとんど変わらなかった.有害事象率が比較的高い手技に関しては,術前の検討とリスクの説明を十分に行うことが求められる.

死亡事例の4例については,個別の詳細な経過を推察することは困難である.また統計学上も死亡事例に関連する因子を検討するのはイベントの数が少ないため困難である.今後統計に十分な数を集積し改めて検討する必要がある.

入力されたデータの信頼性については,これまで各施設の努力に依存する形となっていたが,今後は各施設を訪問しチェックを行ってゆくauditシステムを早急に確立し,大規模データを用いた臨床研究などの学術利用や新規医療機器および技術導入に必要な基礎データや市販後調査などの公的利用に耐えるデータベースの確立を目指してゆく必要がある.

最後に詳細なデータ入力を行っていただいた各施設のデータ入力担当者,データマネージャー各位に御礼を申し上げるとともに,今後とも質の高いデータベースの構築に引き続きご協力をお願いしたい.

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