Journal of JCIC

Online edition: ISSN 2432–2342
JCIC学会事務局 JCIC学会事務局
〒162-0801東京都新宿区山吹町358-5アカデミーセンター Academy Center, 358-5 Yamabuki-cho, Shinju-ku, Tokyo 162-0801, Japan
Journal of JPIC 2(2): 35-42 (2017)
doi:10.20599/jjpic.2.35

総説Review

WPW症候群に対するカテーテル治療戦略Catheter ablation for WPW syndrome in children

1大濠こどもクリニックOohori Children’s Clinic

2埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科Department of Pediatric Cardiology, Saitama Medical University International Medical Center

受付日:2017年12月9日Received: December 9, 2017
受理日:2017年12月20日Accepted: December 20, 2017
発行日:2017年12月31日Published: December 31, 2017
HTMLPDFEPUB3

WPW症候群は,房室結節以外の房室・室房伝導をする副伝導路を有し,このため様々な不整脈の原因となる.カテーテルアブレーションは,副伝導路の伝導性を消失させる根治的な治療法である.副伝導路は,胎生期から残存した構造と考えられる.新生児期,乳児期早期に発症した上室頻拍は1歳以降には伝導性がなくなり自然治癒することが知られている.このような自然歴,および合併心奇形,心機能,発作の重症度,頻度,薬剤抵抗性,運動状況などを考慮し,さらに副伝導路の位置を加味しカテーテルアブレーションの適応を考える必要がある.本邦でもカテーテルクライオアブレーションが導入され房室結節リエントリー頻拍に適応が承認されている.房室ブロックが危惧される中隔側副伝導路に対する治療方法として期待される.

In Wolff-Parkinson-White (WPW) syndrome, there is an accessory atrioventricular pathway (AP) that can allow atrioventricular conduction other than through the atrioventricular node, which can cause various arrhythmias. Radiofrequency catheter ablation is an established method of therapy for WPW syndrome. APs are considered to be structures remaining from the embryonic stage. Most atrioventricular reentrant tachycardias in both fetuses and newborns resolve spontaneously within the first months of life, and >60% of patients require no antiarrhythmic drug therapy, and remain free of symptoms after the age of 1 year. To perform catheter ablation for WPW syndrome in children, it is necessary to consider the natural history, cardiac malformation, cardiac function, severity and frequency of arrhythmias, drug resistance, and position of an accessory conduit, etc. In Japan, catheter based cryoablation has been introduced and approved for atrioventricular nodal reentrant tachycardia. This treatment is expected as a safe catheter ablation treatment for septal APs, which may result in atrioventricular block.

Key words: Wolff-Parkinson-White (WPW) syndrome; accessory atrioventricular pathway; atrioventricular reentrant tachycardias; catheter ablation; cryoablation

はじめに

カテーテルアブレーション登場以前は,外科手術が非薬物治療として行われていた.開胸せず治療するための方法としてカテーテルアブレーションは開発され,1982年にScheinman1),Gallagher2)らの房室接合部に対するブロック作成術,また1983年にJackman3),Weber4)らの副伝導路のカテーテルアブレーションの臨床応用が報告された.当時は直流通電が用いられたが,通電時に3,000°C以上の高熱に達し,穿孔,心原性ショックなどの重篤な合併症も少なく,1987年になり直流通電に代わりより安全な高周波通電によるアブレーションが行われるようになった5–7).加えてsteerableカテーテル,large tipカテーテル,電極を冷水で灌流するイリゲーションカテーテル,クライオアブレーション,バルーンアブレーションなどのカテーテルの開発,心臓の電位情報(心内心電図)とカテーテルの位置情報を同時にリアルタイムに表示する3次元マッピングシステムの進歩,心外膜側アプローチ法などの技術的進歩により多くの不整脈が治療の対象となった.しかしながら小児期では体のサイズに差があること,麻酔,先天性心臓病の合併など克服すべき問題は大きく,複数本の太いカテーテルを用いるため静脈閉塞をいかに少なくするか様々な問題が残される.今回WPW症候群に焦点を当てカテーテルアブレーションの使用方法について解説する.

高周波カテーテルアブレーションの原理

高周波カテーテルアブレーションの目的は,必要十分な組織の焼灼体積を得ることである.組織(導体)に電圧をかけると電子の振動によりジュール熱(Q=V·I·t=R·I2·t, Q:熱発生量,V:電圧,R:組織インピーダンス,I:電流,t:時間(秒))が発生する.ジュール熱のほとんどは電極と組織の接触面で生じ,一部は血液環流で失われる.発生したジュール熱は,組織深部に熱伝導するが,深部での熱量は距離の4乗に反比例して減少する(Q=R·I2/d4·t).

高周波カテーテルアブレーションで生じる組織障害サイズは,電流強度,通電時間に比例し,アブレーションカテーテル先端電極の温度,電極と組織の接触面積に比例し障害サイズは大きくなる.十分な電流量を加えると時間とともに焼灼体積は増加するが,アブレーションが進むにつれ組織インピーダンスが上昇し,有効電流強度が得られず焼灼は進行しない.また強い電流を加えると,組織インピーダンスが急上昇し,充分な焼灼にならないことがある.したがって適切な電流を十分な時間をかけて流すことが必要である.

血流による冷却効果についても考慮する必要がある.血流による冷却効果が強い場合には,より大きな電流が流れアブレーションの進達度が深くなり組織深部温度が高くなる.逆に冷却効果が低い場合には,アブレーション電極と接触する組織面の温度差が生じず,すぐに温度が上昇するため充分な電流が流れないため深達度は浅くなる.洞調律時や体静脈流入部や流出路では血流が速く,不整脈時には血流が遅くなることや洞調律時でも副伝導路焼灼時の弁下部では血流が遅くなることも考慮する必要がある.

成人と異なり心筋厚が薄い小児に対してアブレーションを行う場合,心筋の厚みを考慮し適切な電流量,通電時間,血流による冷却効果など様々な配慮が必要と考えられる.

WPW症候群

胎生期4週(原始心筒がルーピングし心室原基の背側上方に心房が位置する時期)から5週(左右心室形態が区別できるようになる)では,心房筋と心室筋の間には連続性が維持され,胎生6週目頃まではその連続性を認めるが,心室中隔が完成する7週目ごろから心房および心室心筋層の分離が房室管の右の背側部および左の背面で始まる.胎生9週目になると将来房室結節・ヒス束になる刺激伝導系軸がある房室管の背側部を残しほぼ線維組織によって心房筋,心室筋は分離されるようになるといわれている.Hahurijらの報告8)では,胎生6週から10週にかけての房室接合部の線維輪による心房筋,心室筋の隔離は不完全であり,左45%,右35%,および中隔20%で部分的な心筋の連続性が確認されている.胎生10週から20週にかけてその数は徐々に減少し,それ以降は心房筋,心室筋の連続性は見られなくなると報告している.胎児期,新生児期に生じる上室頻拍は,この残存した心房筋と心室筋の連続が副伝導路として機能している可能性があり,生後残存していく可能性がある.

房室結節以外に心房,心室間に心筋の連続性が残った部位(副伝導路)が残存しているために様々な問題を引き起こす.代表的には房室回帰性頻拍があるが,その他,心房細動や偽性心室頻拍,突然死,心室の収縮開始の変化による心機能障害など小児循環器医が対応しなければならない問題がある.

副伝導路は房室伝導を常にしめす顕性WPW症候群(安静時12誘導心電図でデルタ波が常に確認される),間歇性WPW症候群(安静時12誘導心電図でデルタ波が出現したり出現しなかったりする),潜在性WPW症候群(安静時12誘導心電図でデルタ波が常に確認されない)に分類される.

1)房室回帰性頻拍

房室結節を順伝導し副伝導路を逆伝導するリエントリー回路による頻拍が主である.正方向性房室回帰頻拍と呼ばれる.稀に房室結節を逆伝導し副伝導路を順伝導する逆方向性房室回帰頻拍や,二つの副伝導路を介する房室回帰頻拍もある.上室頻拍においては,房室回帰頻拍が最も多い.新生児発症の房室回帰頻拍は1歳以降も頻脈が持続する頻度は20%と少ないことに対し,5歳以上で頻拍が認められる例ではその後も80%に頻拍発作が認められるといわれている9, 10).Ebstein奇形や修正大血管転位に合併することが知られている.

アブレーションを行う以前にデルタ波の極性,頻拍時の逆伝導されたP波形からおおよその副伝導路の局在を理解しておくことが重要である.

2)心房細動

WPW症候群患者ではWPW症候群ではない患者に比較し心房細動が生じやすいことが知られている.副伝導路の順向性の不応期が短い場合,心房興奮がそのまま心室に伝搬し,いわゆる偽性心室頻拍を生じ失神等の原因となる.

3)突然死

WPW症候群患者において,突然死が生じうることが報告されている.偽性心室頻拍から心室細動へ移行することが,その機序として考えられるが,WPW症候群は,Ebstein奇形,修正大血管転位や肥大型心筋症,僧帽弁逸脱に合併することが知られており,冠動脈奇形の合併の報告などがありWPW症候群に突然死が生じる原因は不明な点がある.

4)心機能障害

副伝導路が存在することにより心室の興奮するパターンが正常と異なり,心室内興奮に非同期が生じるために心機能障害を呈することがある.

WPW症候群に対するアブレーションの実際

1)高周波カテーテルアブレーションの適応

小児に対するカテーテルアブレーションの合併症は15 kg以下ないし4歳以下の年齢では合併症発症率が高く,基礎疾患のない乳児期の頻拍は自然軽快が期待できるなどを考慮し,下記のごとく器質的疾患を伴わない小児に対する高周波カテーテルアブレーションの適応11)が示されている.

  • クラス I
    • 1. 突然死ニアミスおよび失神の既往があるWPW症候群,心室頻拍
    • 2. 頻拍の持続に伴い心室機能の低下した上室頻拍,心室頻拍
    • 3. 血行動態の異常を伴う薬物治療抵抗性心室頻拍
  • クラス IIa
    • 1. 薬物治療抵抗性で,再発性もしくは症候性の上室頻拍
    • 2. 先天性心疾患に伴う頻拍(特に術後にカテーテル操作が困難となる場合
    • 3. インセサント型上室頻拍
    • 4. 心房内リエントリー頻拍
    • 5. 動悸のある患者で,心臓電気生理検査により上室頻拍が誘発される場合
  • クラス IIb
    • 1. 抗不整脈薬が有効な上室頻拍
    • 2. 抗不整脈薬は有効であるが血行動態の異常を伴う心室頻拍
    • 3. 非持続性心室頻拍および非持続性上室頻拍
    • 4. 再発性もしくは薬物治療抵抗性およびアブレーション無効の心房内リエントリー頻拍に対する房室接合部アブレーションとペースメーカ植込み
    • 5. 無症候性WPW症候群で,本人および保護者が根治を希望する場合

2)房室回帰頻拍の診断

12誘導心電図でデルタ波が認められる患者で頻拍発作が生じた場合には,房室回帰頻拍の可能性はあるが,必ずしも頻拍の機序が副伝導路を介した頻拍であるとはかぎらず,副伝導路はバイスタンダーである場合がある.12誘導心電図ではQRS波のあとに逆伝導のP波を確認することが重要である.頻拍中に房室ブロックが生じても頻拍が持続する場合には房室結節リエントリー頻拍,もしくは心房頻拍が想定される.心臓電気生理学的検査では,頻拍の誘発停止が可能か? 房室結節以外の室房伝導が存在するか? 頻拍に副伝導路が使用されているか? について検討する.再現性をもって誘発停止が可能であればリエントリーを機序とする上室頻拍であると判断される.心室ペーシング時に室房伝導が房室結節以外であることは副伝導路を介した逆伝導があることを示す(Fig. 1b, 2, 3, 4).ただし前中隔副伝導路である場合には,副伝導路を介した逆伝導か,房室結節を介した逆伝導か判別することは困難であり傍His束ペーシングが有効である(Fig. 5).

Journal of JPIC 2(2): 35-42 (2017)

Fig. 1 (a) 12 lead electrocardiogram: WPW ECG type B. A large delta wave is observed, and the polarity of the delta wave is I induction (+), II, V1 induction (+/−), III, aVF induction (−), aVR induction (−), aVL induction (+). These findings suggest that the AP is located in right posterolateral or right posterior region. (b) Delay of SVT using a conducting accessory pathway by ventricular stimulation (arrow) when the His bundle is refractory. Ventricular stimuli delivered when the His is refractory reset AVRT and delay subsequent to atrial activation. The subsequent atrial activation is advanced by 74 ms. A: atrial activation, H: His bundle potential, V: ventricular activation, ECG lead I, aVF, V1, V6, HRA: high right atrium (prox; proximal, dis; distal), HIS; His bundle electrogram (prox; proximal, mid, dis; distal), RV; right ventricle (prox; proximal, dis; distal), (c) The successful ablation site. Left panel: In sinus rhythm, ventricular activation prededes the delta wave. Right panel: In ventrricular pacing, ventricularatrrial time is shortest. Radiofrequency energy application at this site eliminated conduction via the accessory pathway. ABL: ablation catheter (prox; proximal, dis; distal, uni; unipolar electrogram)

Journal of JPIC 2(2): 35-42 (2017)

Fig. 2 RV pacing to the patient with a concealed left lateral accessory pathway.

Left panel. During RV pacing at a cycle length of 500 msec, the earliest site is the His bundle electrogram and then the atrial excitation propagates from the proximal CS (CS9-10) to the distal CS (CS1-2) as indicated by the arrow (dotted line). Retrograde conduction is over the AVN. Right panel. When the paced cycle length is reduced to 335 msec, the earliest site is the distal CS (CS1-2) and then the atrial excitation propagates to the proximal CS (CS9-10) as indicated by the arrow (dotted line). AV nodal block is produced allowing retrograde conduction over a left lateral accessory pathway. CS; coronary sinus, AVN; atrioventricular node

Journal of JPIC 2(2): 35-42 (2017)

Fig. 3 ATP induced retrograde AV nodal block allowing retrograde AV nodal conduction via a left lateral accessory pathway.

On the left, retorograde V-Aconduction is over concealed left accessory pathway during AVRT. When ATP is rapidly injected during right ventricular pacing (right), retrograde atrioventricular nodal conduction is blocked allowing retrograde AV nodal conduction via a left lateral accessory pathway. AVRT; atrioventricular reentrant tachycardia

Journal of JPIC 2(2): 35-42 (2017)

Fig. 4 Effect of right bundle branch block on AVRT (RBBB) using a right-sided accessory pathway.

AVRT via a right accessory pathway show prolongation of VA interval (155 ms) with RBBB. In narrow QRS on AVRT, the VA interval is shortened (127 msec). The mechanism of RBBB is depicted schematically. Lengthening of the tachycardia cycle length and V-A interval on development of bundle branch block is diagnostic of free-wall accessory pathway on the same side as the blocked bundle. If bundle branch block develops on the other side to the accessory pathway, V-A interval will not change.

Journal of JPIC 2(2): 35-42 (2017)

Fig. 5 Para-Hisian pacing demonstrating only retrograde AV nodal conduction.

Para-Hisian pacing uses right ventricular pacing close to the His bundle or proximal right bundle branch. On right panel, it shows the pacing site with an asterisk. In left, the paced QRS complex shortened indicates direct HB-RB capture (b). The pacing output and pulse width were then decreased until the paced QRS complex lengthened, which was associated with a delay of VA interval, indicating loss of HB-RB capture (c). If the retrograde conduction is only over the accessory pathway, there is no change in VA interval regardless of direct HB-RB capture. HB-RB: His bundle-right bundle

3)副伝導路に対するアプローチ

副伝導路が高周波通電の標的である.副伝導路は房室弁輪に存在し右側(三尖弁輪),左側(僧帽弁輪),中隔を検索(マッピング)する.

顕性WPW症候群,間歇性WPW症候群の場合は,洞調律時にも副伝導路の伝導が確認出来るので,デルタ波が顕在化している場合洞調律時に副伝導路のマッピングが可能であるが,潜在性WPW症候群の場合は,副伝導路が室房伝導しかしないため,房室回帰頻拍時,もしくは心室ペーシング中にマッピングを行う.

①デルタ波が顕在化している場合(顕性WPW症候群,間歇性WPW症候群)

心室興奮は,副伝導路付着部位が最早期である.心房波に続く最も早期の心室興奮部位をマッピングする.また心室ペーシング中または頻拍中に最早期の心房興奮部位をマッピングすることで至適アブレーションの部位を決定することも可能である.Fig. 1に実際の症例を示す.洞調律時12誘導心電図(a)ではB型WPW心電図であり,大きなデルタ波が観察され,I誘導(+),II誘導(+/−),III, aVF誘導(−),aVR誘導(−),aVL誘導(+)であることから右後壁の副伝導路を予想した.頻拍時に右室心尖部から1発の心室刺激(↑)をヒス束が興奮しているタイミングで加えた(b)ところ,頻拍時の心房興奮より心房は早期に捕捉されており房室結節以外の逆伝導路(副伝導路)の存在を意味する所見である.His束が不応期の際に心房が早期に捕捉されるには房室結節以外の経路が必要である為である.ただし左に副伝導路が存在する場合,右室から刺激を加え,刺激による興奮が,その部位に達するのに時間を要するため心房の早期捕捉が明らかにならない場合がある.(C)左に右室ペーシング時に得られた三尖弁後壁の至適通電部位,右に同部位での洞調律時の電位を示す.右室ペーシング時の心房の最早期興奮部位,洞調律時の心室の最早期興奮部位では心房波,心室波が癒合している.

②デルタ波がない場合(潜在性WPW症候群,間歇性WPW症候群)

心室ペーシング時,もしくは頻拍時にマッピングする.副伝導路を逆伝導している際に,最早期の心房興奮部位を検出することが重要である.Fig. 6に上室頻拍のため心臓電気生理学的検査の結果,潜在性WPW症候群,左前側壁副伝導路を介する房室回帰頻拍と診断し同副伝導路に対して高周波カテーテルアブレーションを施行した症例を示す.Fig. 6(a)は洞調律時の12誘導心電図で,デルタ波はなく正常範囲と判断した.Fig. 6(b)は右室ペーシング時にアブレーションを施行した際の記録である.点線で示すようにCS先端で心房興奮は最も早く,Brockenbrough法により左心房内にアブレーションカテーテル挿入し心房最早期興奮部位をマッピングした.アブレーションカテーテルの先端で最早期の心房興奮が記録された.心室波(V)と心房波(A)の間にスパイク状の波(↑:副伝導路電位)が記録され同部位で通電を行ったところ,ただちに副伝導路を逆伝導した心房波は消失し,副伝導路の焼灼に成功した.心室ペーシング時に,房室結節の逆伝導路がある場合には,判断が困難なことがある.Fig. 2, 3に示すように比較的遅いペーシングレートでは房室結節を逆伝導することがあり,このような場合にはペーシングレートを速くする必要がある.またペーシング時にATPを急速静注し房室結節の伝導を遮断することで副伝導路の逆伝導を確認できる場合がある.

Journal of JPIC 2(2): 35-42 (2017)

Fig. 6 12 lead ECG (a), Intracardiac recordings during RV pacing in a patient with a left free wall accessory pathway (b).

A sharp accessory pathway potential (AP) precedes the atrial electrogram. Radiofrequency energy delivery was successful at this site. In RV pacing, the earliest site is the distal CS (CS1-2) and then the atrial activation propagates to the proximal CS (CS9-10) as indicated by the arrow (dotted line). A VA block occurs immediately after radiofrequency energy delivery. Then the atrial activation propagates from the proximal CS (CS9-10) to the distal CS (CS1-2). ECG lead: I, aVF, V1: V1, V6, HIS: His electrogram, CS: coronary sinus, RV: Right ventricle, ABL: Ablation catheter

WPW症候群に対する高周波カテーテルアブレーションの有効性

副伝導路の高周波カテーテルアブレーションの有効性は90%以上と報告されている.小児においてもその有効性は同等と判断されるが,乳幼児では合併症のリスクも高くなるため適応については慎重な選択を行う必要がある.前中隔副伝導路では,房室ブロックが生じる可能性がありさらに慎重を期す必要があるが,近年本邦でもカテーテルによるクライオアブレーションが房室結節リエントリー頻拍について承認されており,房室結節周辺でのアブレーションが必要な頻拍症ではその適応が拡大されることに期待したい.

引用文献References

1) Scheinman MM, Morady F, Hess DS, et al: Catheter induced ablation of the atrioventricular junction to control refractory supraventricular arrhythmias. JAMA 1982; 248: 851–855

2) Gallagher JJ, Svenson RH, Kasell JH, et al: Catheter technique for closed-chest ablation of the atrioventricular conduction system. N Engl J Med 1982; 306: 194–200

3) Jackman WM, Friday KJ, Scherlag BJ, et al: Direct endocardial recording from an accessory atrioventricular pathway: localization of the site of block, effect of antiarrhythmic drugs, and attempt at nonsurgical ablation. Circulation 1983; 68: 906–916

4) Weber H, Schmitz L: Catheter technique for closed-chest ablation of an accessory atrioventricular pathway. N Engl J Med 1983; 308: 653–654

5) Lavergne T, Guize L, Le Heuzey JY, et al: Closed-chest atrioventricular junction ablation by high-frequency energy transcatheter desiccation. Lancet 1986; 2: 858–859

6) Davis MJ, Murdock C: Radiofrequency catheter ablation of refractory ventricular tachycardia. Pacing Clin Electrophysiol 1988; 11: 725–729

7) Borggrefe M, Budde T, Podczeck A, et al: High frequency alternating current ablation of an accessory pathway in humans. J Am Coll Cardiol 1987; 10: 576–582

8) Hahurij ND, Gittenberger-De Groot AC, Kolditz DP, et al: Accessory atrioventricular myocardial connections in the developing Human Heart. Relevance for Perinatal Supraventricular Tachycardias. Circulation 2008; 117: 2850–2858

9) Lundberg A: Paroxysmal atrial tachycardia in infancy: long-term follow-up study of 49 subjects. Pediatrics 1982; 70: 638–642

10) Perry JC, Garson A Jr.: Supraventricular tachycardia due to Wolff-Parkinson-White syndrome in children: early disappearance and late recurrence. J Am Coll Cardiol 1990; 16: 1215–1220

11) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010–2011年度合同研究班報告)カテーテルアブレーションの適応と手技に関するガイドライン.循環器病の診断と治療に関するガイドライン2012; 1–66

12) Hirao K, Otomo K, Wang X, et al: Para-Hisian pacing. A new method for differentiating retrograde conduction over an accessory AV pathway from conduction over the AV node. Circulation 1996; 94: 1027–1035

This page was created on 2017-12-28T14:07:37.754+09:00
This page was last modified on 2018-02-14T13:13:41.512+09:00


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。